「いまFAXを使っているのは日本くらい」「時代遅れ」と、何かと敵視されるFAX。かくいう私も苦手だ。プリンアウトをしたり、送付状を付けたりで手間がかかる。現場からは「メールで統一して欲しい」という大合唱まで聞こえるほど。

 しかしそんな“オワコン”扱いされがちなFAXは、思いがけない場所で、意外なほど有効利用されている。

お客さんを待たせないために「FAX」を使う

 FAXが今も活躍している代表的な業種が不動産業だ。

「物件情報の電子化が進んでいても、図面などの物件資料はまだまだ流です。不動産業は加盟店同士の情報のやり取りも多いですが、それを一件一件PDFにして送るのはタイムロスになります。そこでFAX解像度こそ低いですが、内容さえわかれば役は果たせますので」(センチュリー21ジャパン広報部の佐藤之介さん)

 また、物件オーナーの側にはまだまだFAXユーザーが多く、に慣れているため話がいというメリットもあるとか。「FAXのほうがい・慣れている・面倒じゃない、という向きもいらっしゃるんです」(佐藤さん)

出前館のハイテクを支えるローテク

 ローテクとは縁そうなネット出前サービスの「出前館」でもFAXは使われている。利用者はインターネットから好きな飲食店とメニューを選んで注文するが、そのオーダーは「FAX」として加盟店に伝達されるのだ(続いて入る自動音コールで確認)。

 わざわざ「FAX」で送ることによって電話での聞き間違いがなくなり、電話で応対する時間もける。さらにこんなメリットもある。

「弊社でも当初はメールで注文の確認を行っていましたが、個人商店ではオーダー確認を厨房内で行う店が多く、や火、油を使う所で機械操作をするのは難しい。また、PCを使いこなせない方や、ネット環境が整っていないお店も多いため、もともと皆さんがお持ちのFAXを使うほうが合理的だったんです」(出前館を運営する、夢の創造委員会広報部・藤本久美さん)

出前館から届くFAX

 2017年10月末ごろからアプリ受注がはじまり順次拡大している出前館。だが従来のFAX受注のシステムは当面、保っていくという。

洋上で重宝する「FAX新聞」

 そしてFAXでも活躍している。共同通信社による創刊54年の「共同ニュース」。これはインターネットの使いづらい洋上での重な情報となる「FAX新聞」で、短波線を受信して読むことができるのだ。共同通信社総務局にお話をうかがった。

衛星インターネットの発達で、電子メールでの受信船舶が増えていますが、遠洋漁船などには短波線利用FAXの一定のニーズがありますね。コスト面などが理由のひとつとされます」

 重要ニュースは押さえた上で、運や産業界、燃料価格に関するニュースを重点的に掲載。

 一般の新聞にはい「日本航行警報」のコーナーがあり、海上保安庁提供情報で「チリ西で危険な訓練が行われる」などの航をする者にとっての警情報が載っている。流予報図、選挙時には不在者投票用に立補者名簿や政党約なども届ける。

「ただ、時には寄港での船上生活が年単位に及ぶ皆さんのため、堅苦しくない面を心がけています。スポーツエンタメ関連のニーズは高く、できるだけ面を割いています」

 季節感のあるニュースの開など)、日付や曜日を意識するようなニュースも、生活が単調になりがちな船員たちには喜ばれているという。

 回数が少ないものの、号外も発行。アポロ11号面着陸(1969年)が最初で、野球WBC日本優勝時にも発行したという。

 さらには日本語ニュースだけでなく、外国人船員向けの英語版も発行。いまも契約船舶は400数十隻を数え、されている。

 諸外では「過去の遺物」とされることが多いFAXアメリカを代表するスミソニア博物館が「産業遺産」として所蔵しているほどだ。だがここ日本では独自の価値を見出され、まだまだ役立てられている。

井 裕紀)

©iStock.com


(出典 news.nicovideo.jp)


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